J2第32節アルビレックス新潟vs ロアッソ熊本の話題はこちら
- こうずてぃーびー

- 2022年8月20日
- 読了時間: 7分
プレビュー
熊本戦プレビュー
前節久しぶりの声出し応援を後押しにアウェイ栃木で勝利を掴んだ新潟は自動昇格圏内をキープ。横浜FCも勝利したため首位は譲ったが、3位仙台との差は勝ち点4。首位横浜FCとの差は勝ち点1という状況のためこの熊本戦で勝つことで自動昇格圏キープと首位をうかがう2つのメリットが発生する。
常々、J1昇格のためには連勝し続けること、連敗しないことを発信し続けてきたがまさにシーズンも終盤に向かうにつれてここでの1勝がさらに重みを増し、連勝がその重さを倍増させることは我々サポーターでも実感できるはずである。
熊本とは前回のリーグ戦では熊本のホームでアルビは勝利しているがGK小島の活躍やセットプレーからの得点などあらゆる奮起が形になりもぎ取った勝利であった。
対する熊本はアウェイでの勝率が高いことで知られている上に昇格プレーオフ圏内の5位に勝ち点48で位置している。大木武監督は岐阜で途中解任の憂き目にあったが、今年の熊本は2019年の琉球、2020年の北九州のようにJ3からの昇格組でたびたび起こる台風の目的な存在としてリーグを賑わしている。志向するサッカーも昇格チームあるあるの守って守ってカウンターという形ではなくボールを保持しすばやく攻撃に転じるサッカーで現代的でもある。若手の有望株が多くいるため勢いもある。警戒すべき相手だがホームの地で勝利以外の選択肢はアルビには無いだろう。
熊本のポイント
3-3-1-3というシステムを起用している点をたびたび指摘されることが多いが、システムよりも誰がどういう役割を担っているかにこそ注目する必要がある。
何と言っても熊本の大黒柱はボランチの河原である。前節も全得点に絡む活躍をしており、攻守におけるキーマンと言っていい。新潟は彼に自由にプレーさせないことがおそらく最優先となるだろう。トップ下に入るだろう高木や伊藤を中心に彼をいかに止めることができるか次第で熊本の試合運びは大きく変わるだろう。
3トップの真ん中に位置する高橋は11ゴールで得点ランキング4位と好調。裏抜けもポストプレーもどちらもこなせる万能型FWであるが、新潟的にはDFの背後をしっかりとケアすることを意識したい。
両WGはウインガーとしてもシャドーとしても動けるので彼らも厄介である。
WBが下がって可変5バックも可能なので徳島や栃木がしてきたような新潟対策もやろうと思えばできてしまう点も気にしておく必要はあるだろう。
前節出場停止だったDF菅田が戻ってくるのは厄介である。彼が現在の熊本のDFリーダーなので縦のライン、菅田、河原、高橋は特に要注意である。おそらくこの3人は来期はJ1で活躍していてもおかしく逸材でもある。そしてターレスなどの個の能力がある選手もいるためそれ以外にも注意は必要となる。
新潟のポイント
前節鮮烈な新潟デビューを果たしたトーマスデンだが、その能力の高さは素晴らしいものがあった。引き続きスタメン起用されるかどうかは不明だがDF陣の層は厚みを増したことは間違いない。
加えてここ最近SBとボランチの選手が得点できていることもプラスである。特に藤原は3試合連続得点中と爆発している。J1を含めても屈指の偽SB的動きのスペシャリストであるため、右サイドでコンビを組む松田やシマブクや矢村などとの連携でいかに相手ゴールに近い位置にポジショニングしてチャンスに絡めるかは引き続き注目である。
前節でも好セーブを連発したGK小島だが、前回の熊本との対戦時にも大活躍していたのはまだ記憶に残っている。彼がいかに決定機を阻止できるかも注目である。
チームとしてはやはり先制点が重要となる。今季は先制点を取った試合は未だ負けなし。
栃木戦の前3試合は早い時間に先制され、試合展開的にも自ら不利な形に持って行ってしまった過去がある。そこを踏まえても相手に先制させずに我々が先に点を取ることがやはり重要である。
加えて熊本も粘り強いチームである。追加点も早い段階に取って試合をより優位に運べると理想的な展開か。
夏の移籍で選手獲得をしなかった理由に、今の新潟スタイルを今の選手で質を追求していくという発言が松橋監督からあった。クオリティの違いを見せつけるには熊本はもってこいの相手である。松橋監督がどのような準備をしてクオリティが向上したことを我々に見せてくれるのかは楽しみにしたい。
熊本とは天皇杯ではホームでぼろ負けした相手でもある。同じ轍を踏むわけにはいかない。
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レビュー
◆試合総括
久しぶりのホームでの勝利、そして連勝を狙うべく臨んだこの試合。
アウェイでの勝率が高く、プレーオフ圏内と台風の目になっている熊本をホームに迎えた。
試合内容は両チームの持ち味がぶつかり合った好ゲームで一瞬の隙を見せたほうが負けるような痺れる展開となった。
攻守の切り替えでその一瞬の隙を突いた新潟が先制。
その後両チームに決定機があったが何とかしのいだ新潟が1-0で勝利。連勝となった。
3位仙台が敗れたためその勝ち点差が7まで広がった。このまま自動昇格圏内をキープしたい。
◆トーマスデン
前節、栃木戦で新潟デビューを果たしたトーマスデンだが十分その能力を見せつけていた。
今節ではコンビが千葉に代わったが、コンディションは上向きである。
プレーの質、身体能力、そして周囲との連携も前節以上のものであった。彼がこのクオリティのプレーを続けてくれればJ2ではチート級の存在となる。J1でもトップレベルに位置するのではないだろうか。
じっくり調整しここまで持ってきたメディカルスタッフも称えたいし、デン本人もここまでシーズン序盤からよく耐えたと感じる。
残り10試合となったが例年発生する後半の失速はデンが止めてくれそうである。このプレー内容だと右SBでも行けそうなので藤原のバックアップとしても懸念が一つ減るのは良いことだろう。
◆中盤
ボール奪取と言えば新潟では高宇洋。そんなイメージだったが熊本戦では星も良い位置でインターセプトできていたり、高木と高が連動してボールを奪ったり、高も奪うだけでなくその後のパスの精度が上がっていたりなど選手個々の質が上がっている様子を垣間見た。
奪う能力+ボールを失わず繋ぐ能力が強化されれば自然と新潟のスタイルは強化される。
星のポジショニング、特にこの試合では左サイドの攻撃時の動きが非常によかった。これは繋ぐ、失わないという場面であるが良かった局面だった。小見もシマブクもアグレッシブな姿勢を示していたし伊藤や島田も元々攻守の切り替えが早い選手である。秋山はまだ若干守備の軽さがあるのでそこは改善ポイントか。
◆小島
今季唯一のフル出場でここまでチームを支えているGK小島選手だが、久しぶりに新潟にニュータイプの守護神登場と言っていい。
今季は常々小島選手を称賛しているし、私自身ファンなので贔屓目も若干入っているかもしれないが、セーブ能力も高く、ハイボール処理も向上、それでいてプラス1のDFとしてビルドアップに参加しまくる様子はJ1含めてもここまでできる選手はいない。横浜の高丘や鳥栖の朴に並ぶかともするとそれ以上のクオリティがある。
彼が冷静にビルドアップに参加することによってハイプレス気味にくる相手に対して常に数的優位を作れる。並みのGKであればプレッシャーに負けてミスを誘発されるがここまでの32試合でビルドアップ時の決定的なミスはいまだにほぼなし。これは尋常ではない。
◆谷口
久しぶりの出場となった谷口選手だが復帰即スタメンである。
小見選手へのアシストが注目ポイントだが、相手DFを3人引きつけてのラストパス。今までの谷口選手であればあの局面でも強引にシュートを狙っていたと思うので、冷静に局面を判断できる判断力と視野が広くなったのかなと感じた。
鈴木選手がやりそうなプレーを谷口選手がしたという方がわかりやすいかもしれない。
その後はシュートを狙う場面が増えて若干のエゴが出たので、より俯瞰でかつ冷静に局面ごとに判断して質の高いプレーができるとワントップとしてより驚異的な選手になれそうと、まだまだ伸びしろを感じた点で言えばポジティブに考えられる。


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