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J2第1節アルビレックス新潟VSベガルタ仙台の話題はこちら

  • 執筆者の写真: こうずてぃーびー
    こうずてぃーびー
  • 2022年2月20日
  • 読了時間: 9分

プレビュー



生配信



レビュー

ポイントは3点。

◆司令塔兼大黒柱の高宇洋と新フォーメーション4-1-2-3

◆新戦力の評価、開幕スタメンの伊藤涼太郎とイッペイシノヅカ

◆松橋新監督の手腕とアルベル監督からの進化


・高宇洋と新フォーメーションについて



昨季までのベースだった4-2-3-1から4-1-2-3のより攻撃的なシステムを採用。

今季のスローガン「より攻撃的に」を体現する形になった。

昨季活躍した高木と並ぶ形でインサイドハーフが2枚。今回抜擢されたのは新加入の伊藤涼太郎だった。

攻撃の枚数とオプションが増えた分、アンカーの役割で1ボランチを任された高宇洋のタスクは去年と比べて大幅に増加した。

日本人MFでアンカーをこなせる選手はなかなかに少ない。イメージしやすいところだとガンバ大阪時代の井手口、横浜FMの喜田、ヴィッセル神戸の山口蛍、サンフレッチェ広島の青山、日本代表だと遠藤航とかでしょうか。チームの主軸となる選手の名前ばかりです。

アルビは去年までアルベル監督が土台を作ったポゼッションスタイルを軸に今季はより攻撃的に、良いサッカー止まりではなく得点を量産して勝ち切るサッカーへの転換を志している。

そこで採用されたのが新システム、4-1-2-3である。

攻撃に厚みを持たせるために前線の人数を増やし、去年よりも長い時間相手陣内でボールを保持しながらゴールを目指せるスタイルを展開しているのは見て取れた。

実際、イッペイ、谷口、鈴木の前三枚の動きと高木と伊藤の組み立てはキャンプが10日間休止した影響を考えれば及第点だったと言ってもいい。

実際シュートを18本打ち、仙台のシュートは4本に抑えた。新潟が攻勢をしかけたのは数字からもわかる。

残念ながら得点が奪えなかった点、前線の連携や安易にシュートブロックさせてしまったあたりは改善すべき部分があるが悲観的になる必要はなさそうである。

むしろこのスタッツを生み出したのは攻守に渡り躍動したアンカー、高宇洋の活躍無くしては成しえないものだった。

アンカー型の1ボランチはどうしてもその両サイドにスペースができるので、周りのサポートやポジショニングの流動性が無ければそこを突かれてピンチを招く諸刃の剣である。

2ボランチよりも1ボランチ型の4-3-3の難易度が高いのはそこが大きい。サッカーはロースコアのスポーツなのでまずは点を取られないことが大事である。整理された守備があって初めてリスクを取ってゴールを目指せるというのがオーソドックスな考え方である。

ボールを保持して攻撃的に行くということは、守備も兼ねている面がある。ボールを持っているチームにのみ相手ゴールへシュートすることができるので、自分たちがボールを持っている間に相手はどうやってもゴールを奪えない。なぜならボールを相手に持たれているから。

なのでこの1ボランチは攻守の起点でもある反面、そこでボールを失ったら即ピンチという状況を招く、非常に難しいポジションであり役割を求められるのだ。

しかしこの日の高選手は前線へのボールの配球、相手が攻撃に転じた際のボール奪取やインターセプト、サイドでの守備で数的優位に貢献、インサイドハーフと連携してハーフスペース付近へ侵入など、ヒートマップを見ても明らかだが、一人でピッチの端から端まで動きに動き、新潟の攻守両面を支えた働きをした。

GKに小島選手が戻ってきたのも大きい。ディフェンスラインでの組み立て時は小島選手がリベロ的に舞行龍&千葉に合流して三角形を作りながらビルドアップする場面や高選手がディフェンスの真ん中に吸収される3バックの形になる場面や高、小島、舞行龍、千葉でひし形を作る形など、去年は舞行龍と千葉、2ボランチでも島田選手がディフェンスラインまで降りる形が起点だったビルドアップも選択肢がプラスされた。

アルビのベースとなるビルドアップにも去年とは違う役割をきちんとこなした高選手。守備での刈り取りはもちろん、味方のカバー、攻撃時にもサポートするなど90分フルに稼働した。

仙台も遠藤と名倉のポジション移動や、後半にフェリペを投入しフィジカル的に優位に立とうというところが見られて若干慌てる場面も見られたがそれでも新潟守備陣は安定感があった。

危険な芽を摘んだのは高の活躍によるところが大きい。舞行龍&千葉というJ2でも屈指のDF陣にビルドアップ能力と冷静さをチームにもたらせられる小島が加わり、堀米や藤原がより前目にポジション取りをしても大きく崩されたシーンが少なかったのは高のポジショニングと予測、スイッチのオンオフが状況判断とマッチしていた点が良かったと思う。

今後、対策された時にどうしても空いてしまうスペースをどのように埋めるか、高を機能不全させられた時にどう転じるか?松橋監督のプラン上どう描いているのかはリーグ戦が進むにつれて見えてくるだろう点はむしろ楽しみである。

仙台戦同様の動きができれば大宮戦か山口戦での勝利は近い。今季こそJ1昇格と言う強い気持ちを持ち攻撃サッカーで勝ち点を積み重ねるキーマンは今季の新潟にとっては高宇洋にかかっていると言ってよさそうだ。

・新戦力の評価、開幕スタメンの伊藤涼太郎とイッペイシノヅカ



フォーメーションが4-1-2-3となり、伊藤選手が高木選手とコンビを組みインサイドハーフに、イッペイ選手が左のウイングに起用された。

伊藤選手は水戸時代にも似た位置で起用されていたので、周囲との連携面がポイントだと思っていたがキャンプが10日間停止したことを踏まえれば及第点だったように思う。

細かいイメージの共有とかはこれからになるとは思うが、シュートまで持って行ける場面もあったので今後は相手の崩し方の選択をどれだけ多く持てるか?ワンタッチで崩したり、ハーフスペースに侵入して相手を翻弄するポジショニングだったりで強みを発揮してほしいと感じた。

イッペイ選手は左ウイングでの起用となった。大宮時代などを踏まえると右ウイング予想だったが左だった。

試合の序盤から仙台の右サイドバック加藤選手を翻弄する活躍を見せ、なんどもチャンスメイクした。

後半には相手GK杉本が触れなければゴールと言う枠内シュートも見られた。

懸念されていた守備面も、プレスバックの意識も高く守備での貢献度も新潟のサッカーへの理解度の高さがうかがえた。

足の速いロメロなんて戦前には言われていたが、まさに強さと速さを大いに生かし、積極性も見られたのですばらしい活躍だった。MVPは高選手だったが、次点はイッペイ選手と言ってもいい。

イッペイ選手がサイドの高い位置を取るので堀米選手も去年よりも高い位置を取り、攻撃参加ができるのも大きい。2人の連携面も悪くなかった。

イッペイ選手がクロスを上げたらニアに鈴木、ファーに谷口という型が見られたのも大きい。

去年は偽SB的な働きがメインでクロスの本数が少なかった藤原選手が仙台戦では数本クロスを上げる場面が見られたのも去年からの変化だった。

これはフォーメーションによるところもあると思うが、インサイドハーフ2枚という状況でよりSBがサイドに張って中にクロスからのチャンスメイクをしてもエリア内の枚数が去年より多いのもあるかと思いました。

後半途中に負傷交代したのが心配だが、試合後歩けていたということでそこまで重症じゃないことを祈りたい。

イッペイ選手と伊藤選手がスタメンになったことでベンチに本間至恩選手と三戸選手が構えることができるのは大きい。

実際、イッペイ選手が負傷交代した後に投入された本間選手は彼らしさをいくらか見せる動きはあった。

一方、三戸選手は思ったほど良さを活かせなかった印象がある。失敗してもチャレンジする姿を次節以降は見たい。

まだまだ、トーマスデン選手松田詠太郎選手がベンチ外だったので次節以降の登場に期待したいし、レンタルバックの秋山選手、2年目の遠藤選手、小見選手。奮起を狙う矢村選手。ルーキーの吉田選手、シマブク選手と控えている層もどう使われるか期待したい。

・松橋新監督の手腕とアルベル監督からの進化



今季はアルベル監督の築いたポゼッションスタイルをベースに「より攻撃的に」というスローガンのもと松橋新監督が指揮を執るアルビレックス新潟。

初陣の評価は難しいところである。

もちろんキャンプが10日間停止してしまったなど、準備に予定していた時間を充てられていなかった影響はあるとは言え、良い点悪い点双方露見した。

良い点としてはシステムを4-2-3-1から4-1-2-3に変更し、前線に厚みを持たせ、高アンカーで攻守のバランスを保ち、去年以上にゴール前に迫り、シュート数チャンス数を増やす意図は見えたこと。

逆に懸念点としては仙台戦もシュートを18本も打ちながら無得点に終わった決定力不足という去年に引き続いての課題をどう解決するか?

また、仙台戦でもあったが負傷交代などで高選手などが万一離脱を余儀なくされた場合の1ボランチシステムの代替策がどう準備されているのかは気になるところである。

選手交代に関しては試合の流れもあるので仙台戦一つであーだこーだ言うのはナンセンスだとは思うが、三戸、星、本間、田上とカードを切ったものの効果があったかどうかは疑問である。組み合わせもさながら、やはり途中から試合に入ることの難しさはどの選手もあるだろう。

膠着した状況での選手交代なわけなので、お利口さんなプレーで終始するよりも失敗してもチャレンジする姿勢が交代選手全員にもっと見れたらよかったというのが率直な感想である。

それぞれの選手のプレーエリア、どれくらいのスペースが空いているか、どの位置で勝負させるか、周りとの距離はどのくらいか?このあたりがまだまだ整理されていない印象を受けた。

仙台のシュートブロックが多かったのも、間合いを詰められる時間を与えてしまったためで、元をたどるとスペース、位置取り、味方との距離感などが影響していると思われる。

ここらへんもトレーニングで修正を加え続ける必要があるが、仙台がハイプレス気味にこなかったので今後不明だが、もし昨季のアルビ対策同様ハイプレスでビルドアップを崩される場面が増えてきた際の対策をどう考えているかも見てみたい。

実際、舞行龍のインタビューでもあったが、ディフェンスラインで相手と1対1になる場面が何度かあった。新潟の守備陣は技術もあるのでそこまで心配していないが一瞬のミスで大ピンチにつながる。ここの整理もいくらか必要に感じた。

セットプレーの守備は引き続き渡邊コーチ監修と思われるので安定感があり良かった反面、去年も課題だったセットプレーからの得点は引き続き課題として残ったので今後どう改善していくかが重要になってくる。

42試合と長丁場になるが、連勝し続けることと連敗しないことが重要になってくる。目標達成に向けてどうマネジメントしていくか引き続き見守りたい。

また、プレーオフの要件も引き続きJ1の16位優位なレギュレーションである。精神的に勝ち切る力は早かれ遅かれ必要になってくるのでそこの改善も優先すべきタスクだろう。

 
 
 

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