J2第12節アルビレックス新潟vsいわてグルージャ盛岡の話題はこちら
- こうずてぃーびー

- 2022年4月27日
- 読了時間: 5分
更新日:2022年5月16日
試合前プレビュー
試合レビュー
◆伊藤涼太郎のキラーパス
前半20分までは新潟の時間だったのが一転、不用意だったり技術的な面でのパスミスが増えハイプレス気味に来ていた岩手が引いて守って一気にカウンターという攻勢をかけてきて20分以降新潟にとって苦しい時間が続いていたが、伊藤のキラーパスで松田が裏に抜け出しゴール。
前半のうちに先制できたこと、苦しい流れの中で形勢逆転に成功したこと、これが一本のパスを起点に叶ったことがサッカーの面白さを表現しているし、去年までは高木1人にその役目を背負わせていたチームにとっても選択肢が増えたことを証明してポジティブな出来事となりました。
ボールタッチ巧くもキープ力もあり視野も広い伊藤選手は、おそらく今季の新加入で一番の当たりではないかと見ています。個人的にも今年の一番の注目選手は伊藤選手です。
この日ワントップに入ったゲデスとの連携面は伊藤に限らずチーム全体で深めていく必要性は感じたものの、むしろ練度が深まれば、ゲデスも足元の技術があるので相手を崩すパターンが増えてきそうな予感を感じさせてくれていました。そういった意味でも伊藤選手の加入でチームとしての選択肢が増えたと感じるのはとてもいいことだと思うわけです。結果も出ていますし。
◆去年の主力守備陣の安定度
この日は千葉と堀米がサブに回り、田上と渡邊がスタメン起用。
藤原は2試合連続起用となり長谷川との交互起用のパターンが崩れた形でもありました。
舞行龍、高、島田も長崎戦に引き続きの連続出場。
前半20分以降のパスミスは主に渡邊と田上で多発していたのは事実です。田上は去年のプレー内容的にはこの日のようなパスミスがわりとあり、足元の技術の物足りなさは彼の課題とされていましたが、栃木戦までの出場ではその課題を克服して正確なフィードなどでむしろ見せ場があったくらいだったのですがこの試合では若干精彩を欠きました。
渡邊も今季先発出場2試合目。途中出場含めると3試合目となりますが、彼もパスミスが目立ちました。加えてクロスの場面でも精度に欠ける部分があり課題が残るパフォーマンスとなりました。
金沢で主力として出場し続けてきたということは柳下監督の信頼を得ていたわけですからポテンシャルとは違うパフォーマンスだったことは十分理解できますが、試合は相手がありその試合はやり直しが効かないわけなのでコンディションや試合勘の重要性を再認識させられる出来事でした。
そこをカバーしたのが去年の主力。舞行龍、藤原、高、島田でした。
モレラトや宮市、和田、中村、色摩のハイプレスやサイド突破に対してよく対処できていたと思います。
特に右サイドの守備で言えばやはり藤原起用の場合安定感がありました。これは藤原選手の個の能力も確かにありますが、それ以上に連携面の成熟度によるところが大きいと感じました。
藤原選手がファーストディフェンダーとしてプレスに行った裏を相手が狙って来たら、それを高選手が先回りで予測してカバーリング、その先を舞行龍がカバーと、3重の壁となって岩手を封じます。
これは一朝一夕には無しえません。去年までの積み上げがあって初めて機能します。
左サイドからのクロス対応もニアサイドに舞行龍が入った場合ファーサイドのカバーリングは藤原が対応。小島との連携も含めてよかったです。
松橋監督のインタビューからくみ取ると単純にターンオーバー、交代起用、交互起用的な意味合いの使い方も、相手の特性に応じてスタメンを純粋に入れ替えてきている使い方の両面で選手は入れ替えている意図があるようです。
相手に応じてという面で言うと、例えば相手選手の特性としてフィジカルに強みがあれば至恩よりもイッペイを充てるだろうし、逆に速さの無い相手にはイッペイよりも至恩を充てたり、相手DFに高さが無ければ谷口よりゲデスを起用して空中戦で優位になりたかったりもするだろうし。
長いシーズンを戦う上でやはりこの辺りの最適解は模索したいところですね。
◆松田はスタメン出場でこそ
過去のレビューやプレビューでも何度か触れていますが、松田選手は途中交代で起用されるよりもスタメン出場の方がパフォーマンスが良いという説は本格的に合っているように思います。
途中出場した群馬戦、岡山戦のパフォーマンスよりも、スタメンで出た甲府戦ではアシストを記録し、この日の岩手戦では加入後初ゴール。熊本戦ではシュートを3本も放っています。
これも起用の最適解の要素の一つとなるわけですが、松橋監督が彼を今後どのように起用していくかは見どころですね。
一方で途中出場でも結果を出すのが三戸選手という印象も合わせて感じています。
◆課題と克服と
無失点で終えたのは大きいです。先に書いた通り苦しい時間もあり、あわや失点ということがあってもおかしくない展開ではありましたが、小島も見せ場がありましたし、DF陣も身体を張って守り切りました。やはりそういうプレーの一つ一つが相手を上回る気迫、気持ちがなければできません。非常に良いプレーだったと思います。
加えてクロスからの失点が多い新潟にとって、クロス攻撃主体の岩手から失点しなかったという点もポジティブに捉えられます。
一方でハイプレスでハメられた場合や、カウンターでの対応は紙一重な部分が大きく、敗戦した秋田戦や千葉戦のような苦しい展開を打破することは引き続き課題ではあります。
しかしながら少ないチャンスで決めきる場面が増えてきたので秋田戦や千葉戦の二の舞を回避できていることは課題を克服しつつあるという見方もできます。ポジティブに捉えていいでしょう。
加えて、誰か特定の選手に固執して得点源が偏っているわけではなく、谷口選手が5得点しているのも素晴らしいですが、複数選手による得点が生まれているのは大きいです。誰かがいないと得点力不足に陥るというのはサッカーあるあるでもありますが、今年のアルビはそこも対応できていると見てよさそうです。
次は中二日でアウェー琉球戦。詳しくはプレビュー動画でお伝えします。


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